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2019/09/14.Sat

名月、それから菊と (菊慈童の古画、九谷の香炉)

ふと夜中に目が覚めてしまい、外を見ると仲秋の名月。
思ったよりも雲の多い夜だったので、寝る前に少し見えただけだったのが、今は煌煌としている。
宇宙へ行くとか、月に着陸するとか夢の多い昨今だけれど、静かに輝く月を見ること自体が奇跡である。
街中で暮らしているともうそのような実感などないのだが、
子供のころには月明りで影踏みをしたという記憶もあって、
また、旅に出てたまに夜中に山里を抜けたりすると、山の端に思いがけず大きな月を見ることなどあり、そういうとき素直にありがたい気持ちになる。

帰りしなに、月見団子でも、、と百貨店に寄ってみると、帰宅途中の人たちがお団子を買うのに並んでいて、平素並んでまで買うのが苦手な私もその列に加わった。
静かに順番を待っている人たちを見ると、月はやっぱり「お月様」なのだなぁ、と思う。

仲秋

庭の薄を切ってきて、お団子をお供えする。
庭に植えるグラス類は何より薄がよい三毛庵なのである。
大きくなると株分けなどなかなか大変であるのだが、今年は分けた株を実家に送った。
仲秋が九月であると、北海道では薄の穂が出ていないことがあったりし、母が残念がるのだが、
この薄は穂が出るのが早いので、送ってみたのだ。
残念ながら植え付け初年度の今年はだめだったようであるが、草姿がよいらしく、気に入っているようだ。

お月見のお供え

月見団子は関西風のにょろっとしたやつ(紙を外していないのはご愛敬)。
古い九谷の香炉と。

重陽の節句に

は先日の重陽の節句に飾っていた古画のまま。
今年の春に手に入れて、秋が来るのを楽しみにしていたもの。
近ごろは、床の間もなければ和室もないお家が多いせいか、物は割安なのがちょっとうれしい。
(探すところ次第では、現代アートよりずっとお手軽に手に入るのだ。)
仕舞うときに場所を取らないし、例えばマンションのお部屋などもいいと思うんだけどな。
まぁ三毛庵は難しいお作法などは知らないので、人様にお勧めする分際でもないのだが、
一本でお部屋に季節が生まれるって結構素敵なことなのだ。

菊慈童

時代の菊慈童、少し痛みはあるものの、私よりもずっと永く、大切にされてきたようである。
裂も当時の品のよいものらしく、趣味のよさという点において、昔の人には敵わない。

流通している立派な菊など見ると、野菜っぽくてあまり感ずるところはないのであるが、
野に咲く菊や、あるいは庭で乱れて咲く菊は佳い花である。
ここに描かれている菊はそういう花らしくて、うれしい。
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2019/08/17.Sat

夏休みの記憶 (染付貝藻文猪口)

送り火も過ぎ、お盆が終わった。
故郷に帰られた方も、台風で大変な思いをされなかったであろうか。
楽しい夏休みを過ごされたであろうか。

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そこそこに神経質な子供であったせいか、夏に海へ行っても
姉妹やいとこたちと一緒になって波打ち際で遊ぶのはあまり好まなかった。
代わりに、ひとりで波に洗われて丸く削られたシーグラス(当時はガラス石と呼んでいた)や貝を集めた。
といっても、北の海のことであるので、あまり美しい貝はなく、
大人になって能登の海で桜貝を拾ったり、沖縄の海で色とりどりの貝を拾ったときにはかなりう喜んだものである。。

ある夏、東京から親戚の大学生のおにいさんがやってきて、いつも行く海に連れて行ってもらった。
人見知りの多いわりに、どういうわけかよくなつく相手がたまにいるというのは昔からだったのだ。
確か、その人と私と妹で行ったように思う。
その時も、おそらく私のことだからそれほど波打ち際まで行っていたとは思えないのだが、
突然大波を頭から被り、引き波に足をすくわれそうになった。
波の恐ろしさの最初の記憶、何事もなかったのに怖くて大泣きした。
(おそらく小学校には上がっていたと思うので、すぐ泣き出すような歳ではなかった筈だが。)
そんなわけで親戚の大学生はびしょぬれになって泣く子供を家まで連れ帰る、という
羽目に陥ったのであるが、近ごろふと思い出す子供のころの記憶といえば、怖い思いをした、とか
今も心の隅で後悔をしているとか、そういうことが実に多く、
幼少の、時間が止まったかのような満ち足りた記憶、というのは意識しては思い出せない。
思いがけず庭が美しいときとか、そういう意図しないときに突然押し寄せることはあっても。

この蕎麦猪口は、去年の秋に松本でみつけたものだ。
時代が若いのか、伊万里ではないのか、つるっとした磁器質だが、伸び伸びとして気に入っている。
去年は夏まで忙しくしていて、秋になって自分の暮らし周りを見直して、
ひとつ欲しいものができたので、のんちゃんに連れて行ってもらった帰りに寄ったのだ。
(その日は気圧の関係でへろへろになっていたが、松本についてようやく息を吹き返した記憶がある。。)
年に一度も行かないであろう骨董屋さんで見つけたのだが、
そこの大将は私たちのことを覚えていてくれたようで、いろんなものを見せてくれたり、
話をしてくれたりで、そんなにはゆっくりとはしていられない私たちはひやひやしたものだ。
だけど旅先の骨董屋さんでお宝探しをする楽しさというのは、どちらかといえば
みつけたものに、その時の楽しい思い出が香りのように残るというところにあって、
今でもこれを見る度に、一見では仏頂面でいる店主が人懐っこくあれこれ話してくれたあの日を思い出すのだ。

いいトシになってくると思い出というのは尽きないものである。
トシとるとどうして思い出話が増えるのかなー、ってよく思っていたけど。。
なにか美しいと思うものって、きっと人は反芻するのだろうな。
でも、過去を思うのと同じように、今もひとつひとつのこと、一瞬一瞬を大事に思う。

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こんな見込・・・瀬戸か美濃の産?

さて、いつものごとくブログをさぼっているあいだ、
寝て起きて、ご飯を作って食べて、庭で水遣りをし、金魚に餌を遣る日々。
どれもそうおろそかには出来ないので、意外と忙しいのである。

猛暑の8月に入る前、7月は土日の天候が安定せず、
梅の土用干しはいつもより2週間ほど遅れた。

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気を揉んだが、今年の梅は上々の仕上がりで、殆どがふわっふわの仕上がりだ。
少し硬いかな、というようなのは3粒だけ、梅自体の出来の良い年だったのだろうか。

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可愛いホーローの容器にも詰めてご満悦なのであった。
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2019/06/08.Sat

水色の季節 (薄瑠璃六角水滴)

昨日の画像に写りこんでいたのを見て、ここに上げていなかったのを思い出す。
薄瑠璃の水滴。

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(一番長いところ:5㎝)

書をたしなむわけでもないので、水滴は手に入れても眺めるのみである。
お皿や花瓶は辛うじて使うこともあるので言い訳しながら買うのであるが、
結局のところ、好きだったら買うだけのことなのだ。

文房具というもの、道具には違いないが、手元で愛でることから
持ち主のこころのあり様を表すアイテムである。
この水滴ももっとお洒落な人に貰われればよかったのかもしれない、
三毛庵のところでは花瓶の横でちょこんと鎮座するのみだ。
何処のものかは分からない、ちょい古の伊万里系とかそういうものだろうか?
(まぁ専門外の三毛庵がお気軽に入手したものなので・・・
裏を撮り忘れたけれど、無釉でベタ底の一般的なかたち。)

でも小さくて薄瑠璃で、可愛い箱なんかに入れてあげたら佳い感じになるんだけれどな、きっと。
三毛庵宅に来たかったから、この水滴はお買い得になって並んでいたに違いない!(笑)

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こんなふうに・・ちょろっと釉薬の掛け残しがあったり、、

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垂れっとしているところがあったり、、
薄瑠璃らしい表情が豊かで、眺めてほっこりする。

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華やかな薔薇の季節が過ぎて、雨に濡れる水色の季節。
家の中で、掌にそっと薄瑠璃さんを載せて眺めるのである。

(庭部↓)
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2019/06/03.Mon

早乙女 (九谷庄三手田植え図鉢)

私の中の原風景というのは、人の手のほとんど入らない原野なのである。
そして皮膚感覚は乾いた空気。
なので、里山の田んぼの風景など、若いころは「わぁ日本だなぁ♪」などと思っていた。
(いったい、自分は何処の国のひとなんだ!)

だけど今、田んぼに水が入ったり、秋に黄金色の稲穂が揺れるのを見るとほっとする。
やっぱりお米の国のひとなのかなぁ。

九谷庄三といえば農耕図。

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九谷銘ではあるものの、ちゃんとした庄三手の
お気に入りポイントは、窓絵のひとつが農耕図、しかも田植え図であることだ。
可愛らしい早乙女ふたり。
こういうのを見ると、工芸品と日常が離れ離れになることなく絵になっていた、そういう暮らしがあったんだ、と思う。
都会でしゅっと暮らしていると、花でさえ単なる装飾と化し、忘れそうになるのだけれど、
花を飾ったり、自然との対話から生まれた工芸品を飾ったりするとき、
自然との深い繋がりがかつてはあったことを思い起こす。

田んぼというのも人が自然と折り合いをつけてきた美しい歴史の賜物で、
そういうものを器に描いた九谷焼というものに三毛庵は心からの尊敬を抱くのであった。

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ばらの季節が終わろうというのに沢山蕾が残っていたブルーランブラー。
先週たっぷり雨が降った後、いっぱいに咲いた。

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モスローズ風のミニバラ、ストロベリースワールの美味しそうなお色。
はじめに置いていた場所の日照やら風通しが気に入らないようでひねくれていた。
強い西日と吹きさらしの風の吹く棚に置いたらゴキゲンに。

いろいろのクレマチスの季節。
今年植えたものが多いけれど、、

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パール・ダズール。一年放置の処分品だけあってなかなかのタフガイ。

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早くに咲くばら、マダム・サンシード・パラベールに這わせてばらの花後を愉しむための
ビチセラ・ルブラ。古風な花でとてもお気に入り。

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こちらも八重咲なのに、豪華というより、やはり古風なパープレア・プレナ・エレガンス。
ブルーランブラーの上まで伸びて、大半の花が見当たらないけど。

五月の庭のように溢れんばかりの花の庭が原風景、ということはないけれど、
それでも庭仕事の合間に一服していた父の姿なぞ今頃になって思い出す。
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ものたち | Comments(0)
2019/05/29.Wed

花と出会い (万古焼掛花)

あんなに咲いた薔薇も、花がら摘みをしたり、切り戻したり。。
気がつけばお庭はまた緑色に染まっている。
いつの間にか主役は紫陽花に遷っていて、山アジサイ『白扇』や
柏葉アジサイのグリーンだった花はもう白く大きくなっている。

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渋い土のお色だったから、この季節の白いお花を頂いてくる。

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まだ咲き始めのホタルブクロを切るなど、三毛庵出血大サービスである。
いつもいうことだが、切るのは惜しく、勇気がいるのだ。
でも、入れ方がちょっとぐらいポンコツでも、そういう花はいつまでも見入ってしまう。

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花を切る決心をしたのは、ご縁があってSさんからにゃんこのばんこがやってきたから。
こちら@となんと、お揃いなのです♪
なんと出所は別々らしく、びっくり。
ちょっと欲どしくはないか?と一瞬躊躇ったが、のんちゃんがお揃いで
コレクションにしたら?と仰るので、ご縁と思い、ありがたく頂戴することに。

このごろずっと、お花のことばかり書いているから、
まるでふるものも花入を探しているみたいだけれど、決してそんなことはない。
ないけど、あ、、これ使ってみたいな、そう思うものがあるんだなー、そういう時って。
それは、このような珍品であったり、安物のビンであったり、いろいろだけれど、
何であれ、使ってみたいものが目の前に現れて、ドキッとする。
あんまりむつかしく考えないでいるほうが、なんだか出会いが愉しいのだ。

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二重咲のホタルブクロなど茶花といえるのかしらんけど、
清楚な『白扇』との組み合わせは、茶花然とし過ぎず佳い感じ。
ちょこっと毛羽だっているのもなんとも愛嬌がある。
ぎゅうぎゅうの庭でもへこたれずに咲くので、洋モノのカンパニュラよりありがたいかも。

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朝、勝手口を出ると、クリュタイムネストラが金色の蕊を見せて咲いている。
オーガストルッセルが伸びやかに咲くので、すこし空間を埋めてくれれば、
と、本当は来年に、と思っていたものを取り寄せたのだ。
思った通り、上手くスキマに調和した。
そして思った通り、大好きになった。
コーネリアよりもすこし大人しく、照葉の色合いも紅い新梢も可愛い花にお似合い。
お世話が楽しい三毛庵であるので花がら摘みもするのだけれど、
クリュタイムネストラは潔く散るので、ちょっとの間放任しても汚くならないおりこうさんである。

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盛期のオーガストルッセル、来期はもっとよくコラボしてくれるかな。
このふたつ、きっとお似合いの出会いのはずだ。
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