2012/09/30.Sun

シンクロニシティ (吹きガラスグラヴュールコップ/田中恭吉展)

いろいろ記録が溜まってしまった。
9月23日(日)は和歌山県立近代美術館に行く。
『生誕120年記念 田中恭吉展』(10/14迄)がお目当て。
以前『創作版画の名品展』@を見て、創作版画運動における『月映(つくはえ)』の存在に
感銘を受け、和歌山の田中恭吉のコレクションはぜひ一度見たいと思っていたのだ。
小さなものを含めると予想以上に膨大なコレクションで、夭折しながらもこれだけのものが
戦禍も免れて遺されたというのは、日本の近代美術史にとっては幸せなことだと思った。
日本の創作版画運動の「青春」と、田中恭吉の死と向き合いながらの「青春」が、
大正という時代において重なり合って、美術史上の金字塔を打ち立てている。

創作版画『月映』の一群、最後に残された力で制作したペン画の一群『心原幽趣』Ⅰを残し、
ピークのまま彼は死に至る。
作品は、植物も人体も(あるいはときにこれらは一体化して)大地から発芽し、
生長するかのようだ。植物までもが、手折れば血を流しそうな気配だ。
膨大な写生の中には時折植物などもあり、小さなものながら植物の秘密をそっと写し取っている。
そうやって、彼の中に蒔かれた種がやがて生長して、版画やペン画の作品になったのだ。
よいものを見せていただいた。
同時開催は、『幻想の美術』(日本の版画では谷中安規、駒井哲郎、浜田知明など)と
『コレクション展 2012-秋』(田中恭吉と同時代の近代絵画など)。

blog 8816

さて、のんちゃんと市をぶらぶらしながらみつけたのがこちら。
軽く薄く吹かれたガラスに淡いグラヴュールの植物文様。
何か、例えば西洋オダマキのような、半ば非現実のような花が3つ浮かんでいる。
田中恭吉の植物へのイメージが抜けきらないうちにふっと出会った。

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こんな薄く吹かれた小さなコップは、なんでもないものだけに割に好きなものだ。
大抵カットの施された昭和のものが多いのだけど、グラヴュールというのが珍しくて
つい見惚れていたら、「それはほんとは僕が使いたいなと思ってたんだけどね~」と店のご主人。
「大正あると思うんだけどな。」そう言いながらもオマケしてくれたのがうれしい。

blog 8820

確かにこれは大正のもの・・・田中恭吉が亡くなって間もない頃のものかもしれない。
田中恭吉を手に入れることは不可能であろうけれど、大正の植物文様を、ひとつ・・・掌に。
ほんの、共時性。。

blog 8819
(高さ9.4cm)

おまけ・・・
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絵のこと | Comments(0)
2012/09/23.Sun

好奇心の下僕 (型吹きあられコップ)

blog 8775

ブランド志向と呼ばれても仕方あるまい。。
あられコップである。世間様がいいというものはどういいのか確かめたくなるのだよ。
好奇心あっての人間サマだとは思うけれど、欲望というのはやっぱり照れくさい・・・。

柄杓に一杯梅酒を注ぎ、氷をふたつぶ、オンザロック。
それでちょうどいっぱいになる小さめサイズ。
自分にとって頃合いなので重宝していて、好奇心の僕になるのもたまには悪くはないと思う。
ひとつしかないので、もっぱら寝つきの悪い私専用に供してるけど、
型吹きのやわらかなあられの感触は眠れない気分を少しほぐしてくれる。


blog 8774
(直径6cm/高さ6.3cm)
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2012/09/19.Wed

栗を買いに (古伊万里白磁膾皿)

栗を買いに出掛ける。毎年実家に送るのだ。
ついでに我が家の分も買って、栗ごはんや栗ピラフにするのも楽しみ。
猛暑のせいか、彼岸花はまだ見られなかったけれど、稲刈りが始まっていた。
いつの間にか、もう秋だ。

栗きんとんを団扇と秋草の色絵の小に。

blog 8802

お酒も切れていたので、秋鹿のひやおろしも。
今年のお米が採れる頃、去年のお米から作られたお酒が熟成を迎える。

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お酒のお味をじっくり味わおうと、薄いガラスの盃でシンプルに。
も何の変哲もない、伊万里白磁の膾。(明宝ハムのハムトンを♪)
柿右衛門の繊細な白磁ではなく、タフな日用の白磁に乾杯。

blog 8803

昨日のつるりとした瀬戸様の白磁も愉しいけれど、かりっと焼けた伊万里の膾
やっぱり万能選手。

blog 8805

裏を返しても頑丈この上なく、頼もしい肴の味方なのである。

blog 8806
(径13.5cm)
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2012/09/18.Tue

ぺらぺらながら (瀬戸?白磁輪花豆皿)

贅沢なことである。永遠に日の目を見そうにないがらくたを所有するということ。
実用としてもそれほどの用向きはなさそうだ。
つるりとしたせいぜい戦後ぐらいの瀬戸辺りの白磁豆皿
しかもちょこちょこ当たりがある。 
きっと古伊万里ならもう少し出世のしようもあったのだろうけど・・・。
だけど、こころが動いたのだからしようがない。
しばらく横目で眺めていたいなぁ・・・と思ったのだから。

blog 8782

ぎりぎり薪で焼かれているのか、降りものがあったり、輪花のエッジが効いていたり、
厚手で抱えていたり、薄手で開いていたり・・・。
粗末なものだけれど、煮梅とか栗の甘納豆とかきんかんとか、あるいは雲丹とか・・・
小さくて上等なものをちょこんと載せたら、うつくしいかと思う。
そういう贅沢もあっていいのじゃないかと思うのだ。
何にも媚びずに、いられたらいいと思う。

blog 8780

こんなそばかすっ子でも、醜いとは思わない。
ぺらぺらながら、「薄っぺら」ではない。

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(径7.5cm)
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2012/09/12.Wed

夜の白む頃 (古伊万里くらわんか暁烏文コロ茶碗)

時折、はたと眠れないことがある。
お天道様の下で働いて、カラスと一緒に帰りましょう、という生活でもないので、
煌々とした灯りやら、テレビやネットの刺激やら、夜は活性化する一方だ。
時間を自由に謳歌しているようで、一日が恐ろしく実感もなく過ぎて行く。
昔の生活に帰りたいなどと今更言うつもりもないけれど、どうすれば「実感」を取り戻せるのか。

ひどいときは、夜が白むまで混沌を抱えたままだ。新聞配達のカブの音が響き、
カラスが鳴きながら渡ってゆくのを聞き、ようやく疲れを催して眠りにつく。
これは贅沢病というものなのだ。どうこういうようなものでもない。

blog 8736

昔、くらわんかのコロ茶碗をいくつか買った。
頭でっかちでなんだかよく分からないトリ様だが、暁烏(あけがらす)文であるという。
なんでも愛らしくしてしまうのは、日本人の得意技であるけれど、
江戸の人は、暁烏とともにねぐらを出て、お天道様の下せっせと働き、
烏と共に帰途についたのだろう。
今じゃゴミ収集日を狙って参上する利口さ故に嫌われ者のカラスであるけれど、
本当は愛すべき働き者の友であったはずだ。

そんなことを考えながら、そういうまっとうな生き方に密かに憧れる私なのであるが、
しごくまっとうに布団に入るとすやすや眠ってしまうのんちゃんを横目に、
やっぱり眠れないよ・・・とひとりぼやいているのである。

blog 8734
(直径:6.7cm/高さ:4.8cm前後)
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2012/09/09.Sun

文具の香り (和ガラスツバメ印インク瓶)

blog 8706

骨董市で細々としたものが並んでいるのを見つけると、もう宝物を探す気分だ。
といっても大抵は古い文具のような、他愛のないものなのだが・・・。
そういえば子供の頃、父の机や母の鏡台の引き出しの中はお宝の山だった。
父の机の上のインク瓶とかペン先とかをこっそりいじったりして、
大人の世界の香りを嗅いだものだった。
その頃の父母の歳を超えた今もやっぱり、上質な文具に憧れてみたりもするけれど、
なんだかいつまで経ってもそういうものに相応しくなれない気がするのは
どうしてだろう。

このインク瓶は、さすがに私の子供時代よりずっとずっと遡るものだけど、
ハイカラなラベルが残っていて、こんなものが机の上に載っているのを見た子供は、
さぞかし心をときめかせたに違いないなぁ、などと思う。

blog 8704
(高さ4.7cm MARUSHIRO SHIYOKAI とある)
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2012/09/06.Thu

下手なようで (古伊万里色絵松千鳥文小皿)

blog 8764

胡桃餅でおやつタイム。
下手な古伊万里色絵小皿に載せて。
重ね焼きのための釉剥ぎに松の幹と枝の色絵を載せて、こちら@の松梅文と
よく似ているけれど、梅ではない何やら赤い文様が散らされている。
のんちゃん曰く「とんがらし」だそうである・・・。
いや千鳥とかぢゃないかと思うのだが、松に千鳥ってあんまり聞かないよねぇ。

blog 8742

くらわんか系の下手なものだと思ったけれど、裏を返すと染付でささっと唐草が描かれている。
みみっちい字で、ご丁寧に「成化年製」とも描いてあって、案外と手が込んでいる。
そういえばこちら@のおちゃめなお皿もやっぱり裏に染付で唐草が描かれていた。
釉剥ぎのこの手のお皿というのは、やっぱりよく分からない存在である。。

blog 8743
(10.5cm)
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2012/09/03.Mon

午後の贅沢 (プレスガラスげんこつコップ)

いつの間にか日の暮れが早くなってきたけれど、昼間は相変わらずの酷暑。
まだまだ強い日差しの午後、ほろ苦いアイス珈琲でひといき。

blog 8663

アイス珈琲はげんこつコップで・・・。
これは今や我が家の鉄板コーディネートだ。
指先に触れるごつごつ感がアイス珈琲のコクやほろ苦さを引き立てる。
一寸持ち重りのする感じも珈琲にはとても合う。
これが中国茶の冷茶なら吹きガラスのロックグラスとか、日本茶の冷茶は
一口サイズの薄い吹きガラスとか・・・それだけだけどとても贅沢。

といっても、型吹のげんこつひとつあるきりだったので、
こちらを上手にみつけたときはトキメいた。

blog 8667

こちらはプレス(型押)なので、もっとごつごつした感じ。
型吹があっても、じゃあ型押なら珈琲は美味しいのかという好奇心を抑えられない。
(「もの」好きとは煩悩である。。)
とはいえ、これで珈琲タイムにのんちゃんとげんこつの奪い合いをしなくて済む訳だ(笑)。

こういう贅沢はぜひとも推奨したいのだけれど、げんこつもなかなかお手頃には
見つからないご時世で、確かに贅沢と呼んでいいかもしれない。

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