2010/04/06.Tue

呼び覚ます(緑印判皿)

blog 5472

泥だらけのがらくたの山をのぞいていてふとこのお皿に目が留まったのは、表面に
重ねて焼くための目跡があって、普段よく見る印判手よりもなんだか少し古びた感じがしたからです。
引っ張り出してみると、あの真っ白でつるんとしたガラス質のような印判皿ではなく、
なんだかごつごつした質感の、まるで石を削りだしたようなお皿でした。
裏を返すと高台を削りだしたろくろ目も残っていて、ますます不思議な感じです。
見たことのないこのお皿に、がぜん興味が湧いたのですが、それがいったい、
私のこころの扉をノックされたのか、ただの物珍しさなのかを自分でも測りかね、
いっとき思案にくれ・・・。

可笑しいですよね、所詮印判皿のお値段なのですからひとまず買ってしまえばいいのです。
でもこういう時って、自分の心の振れ具合をお金と交換するのですから、真剣にならずにはいられません。

さて、持ち帰りきれいに洗ってみると・・・みすぼらしかった様子が見違えるほどに。
正体を見破ってやろうと、自分の周りに転がしておいてちらちら眺めていると、
この不思議な絵柄が気になりだしました。
雪輪文の中に、雲間の月と藁屋の風景が描かれているようなのですが、雪輪の周囲の文様は
まるでクリスマスのプレゼントの包装紙みたい(笑)。
ぼんやり見ていると、子供の頃のクリスマスの夜のおごそかな空気だったり、
あるいは宮沢賢治の物語の、あの万物が息を潜めながらも動き出す不思議な夜だったり、
そういうものにひやっと触れる気がするのです。
我ながら妄想すること甚だしいのに驚くのですが、誰でもいくらか、
そういう「物語」をどこかで生きていると思うのは間違いなのかな?
私にとって「好き」なものとは、過去をなつかしむものということでは決してなく、
目や心が美しいものをダイレクトに感じていた頃の感覚を呼び覚ますものなのだと思います。

そんな訳でこのお皿は私の「秘蔵のがらくた」の殿堂入り決定です。

blog 5474
(直径 10.2cm)
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