2010/08/28.Sat

質量 (『画家 岸田劉生の軌跡』展)

blog 6158
神戸市立小磯記念美術館に『画家 岸田劉生の軌跡』展を観に行ってきました。
油彩の傑作、麗子像や草土社時代の「道路と土手と塀(切通之写生)」などの代表作はありませんが、
劉生という画家をうかがい知ることの出来るなかなかよい展覧会でした。
blog 6159

この美術館は小磯良平の記念館なので、移設された小磯のアトリエがあったり、
作品も少しずつ常設されていたりしています。
はじめに小磯良平の作品を幾つか観ました。
端整な小磯の作品を見ていると、なにか感慨のようなものが浮かんできて、
それは何だろうと考えてみると、昭和という時代の空気であるような気がします。
そういう風に見ていると今までどちらかというと余所余所しく感じていた
小磯良平という画家について、もう少し別の見方ができるような気がしました。

さて、劉生ですが・・・やっぱりすごいですね。
昔、学校の教科書で不気味に?微笑む麗子像を見て、なんでこれが名作なんだ!?と
子供心に思いましたが、絵というものには生きてきて初めて腑に落ちる美もあるものです。
印象派の絵などは何の予備知識もない子供の目にも美しく感じた記憶があるのですが、
頭ではなく視覚に訴えるものだから、美しさを感じるのに年齢はないのだと思います。
でも、生きてきていろんなことを感じて経験して、その上でその美しさに唖然とする
というものもあって、そういうのが目の鍛錬だと思うのです。
展覧会を見に行くのは簡単なことだけれど、そのためにはいろんなことに関心を持ち、
沢山の書を読み(絵の解説本を読めと言うんじゃないですよ!)、色んな経験をして、
自分のアンテナをたくさん立てておくことが大切だと思いました。
それでも画家が発信していることのどれだけを受け止められるのかは分かりませんが。。。

今回の展覧会は油彩、水彩、ペン画に墨彩、洋画もあれば日本画や版画(木版・エッチング)、
装丁など、劉生の多彩な画業(どれも余技ではない)を見ることが出来ましたが、
劉生の作品のすごいのは、どれをとっても「持って帰りたくなる」ところです(笑)。
絵を見るときにともすれば忘れがちになるのは、絵というのは平面に色がついたものではなく、
美しいひとつの「もの」だということです。
劉生はそのへんのことを実によく分かっていて、人が持って帰りたくなるようなものを
せっせと作っていたんじゃないかと思うほどです。
彼は古美術にも随分傾倒したらしいし、おそらく絵というものの「質量」をよくよく
分かっていた人なのだろうなと思います。
そういう意味では、小磯良平の絵は私にはちょっと「実在」している感じが薄いのです。

さてせっかくなので画集を買ってみましたが、今日はポスターがオマケでつきました♪
画集も楽しいですが、本物の質感を愉しんだ後では、印刷物はつまんないですね。
学校の教科書の印刷で、あの麗子像の触感に圧倒されるのはやはり難しいんじゃないかと
思います。
blog 6160
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