2011/09/27.Tue

~1740 (古伊万里青磁色絵吹墨椿文輪花なます皿)

江戸中期以降の伊万里は、清潔で堅牢で食器として抜群に優秀だ。
だけど食器然としているだけに、どうしても「用意された感じ」になってしまい、
ふるいものとして眺めたときにはすこしばかりおもしろくなかったりする。
くらわんかのようにちょっと規格から外れたようなものが好まれたりするのは
そういうところにあるのかもしれない。

色絵となると多色なだけに益々難しくなり、やはり私も色絵くらわんかの系統が
愉しいかなと思ったりする。
とはいえこれらも人気なだけに、今やパターン化された「記号」となっているのもひとつの事実。
いわゆる金襴手といわれるものから、あ!と思うようなものなどを見つけるほうが
却って難しいのかもしれない。

さて、伊万里について「こういうものがあったらぜひ!」という気持ちは
それほど持ってはいない私なのだけど、この、中期以降の色絵のうちで
一度出会ってみたいなと思っていたものが、そういえばあったのだ。
これを見かけたときにそれを思い出した。
blog 7445

吹墨といえば初期伊万里が有名だけれど、1700年~1740年頃に作られた
伊万里に吹墨を使ったものがある。
柴田コレクションの図録を見ると、(染付だけのものもあるけれど)
色絵との組み合わせのものがあり、朝顔や松原に帆掛け舟、熨斗文などが
染付の吹墨の地に色絵でいっぱいに描かれていて、この時期の伊万里にしては
ちょっと意外性のある面白い図柄なのである。
ところがこのタイプ、そこいらで見かけたことがない。
愛好家の豊島愛子さんが扇面図のなます皿を持っているのを本で見て、
「いいなぁ、私もそんなのを見かけないかなぁ」と一寸うらやましく思ったりしたのだ。

という訳でこれを見たとき、「あ、吹墨!!でも青磁・・・?」と思った。
よく考えると前述のタイプは地が吹墨で文様が色絵で抜いてあるのだけれど、
これは文様が吹墨である。
「うーん、これはあれなのであろうか?」と思ったのは、顔見知りの売り手も
「幕末ぐらいあると思うけど」と言ったからだ。
さて、青磁色絵というのが「美しい」のかは多少疑問の余地はあるものの、
ふっくらした椿の文様は好みなので、この際細かいことは抜きにしとこう、
やっぱりこの手の吹墨は「買い」なのだ。

さてさて、持ち帰って「柴田コレクション」と首っ引き・・・
やっぱりこれはあの輝かしい1700~1740年代の吹墨の端くれだと確信する。
同年代に作られた青磁の鉢の類に、吹墨ではないけれどよく似た色絵のものがあったのだ。
なます皿なだけに、また吹墨が素地ではなく青磁の文様とされているだけに、
あの吹墨手の色絵の一群に比べると、食器っぽくて「自由度」が少々足りない感は
否めないけれど、それでも私の好奇心は十分に満たされたのであった。
おまけに「1700~1740年代の吹墨だよ」と言われて手に入れたのではない
ところが肝心で、まるで自分が「発見」したようなヨロコビがあるのであるから、
ふるもの好きとはしょーもないものである。



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