2011/11/13.Sun

超絶技巧と伝世 (九谷赤絵馬絵煎茶碗)

blog 7606

のんちゃんの煎茶碗である。もちろん時折盃に変身したりもする。
九谷焼の初代中村秋塘作なのだそうである。

そもそも、手持ちのものをちゃんとブログに整理しようと思っていたのであった。
のんちゃん曰く、いつも呑むとき私のお好みの盃ばかりでてくるそうである。
いや別に、いろいろを忘れている訳ではない。私は記憶力は良い方なのだ。
しかしながら、右脳のやつが勝手に、「これで呑むと美味しかった」と
一度感知したものの記憶へと、とかくアクセスしたがるのである。
ということで、何があるのかを整理しておけば、呑む時のお役に立つであろうと
算段したのであるが、結局右脳様がお気に召したことばかりを書こうとするので
これに資料的価値を与えるには、もっと冷静に左脳に働いてもらうべきなのだろう。
(しかし私の左脳もなかなかで、「味をつけないと」という論理を振りかざし、
無理やり土ものの盃の登場回数を増やしてみたりしているズルいやつである。)

さて、秋塘様はのんちゃんが発見、その仕事振りに見惚れて入手した。
(私の右脳はがらくたにばかり反応するので、こういう時大抵出遅れる。)
上等な煎茶やお酒を嗜みながら(そう、これには「嗜む」というコトバが合う)、
明治以降の九谷の超絶技巧を愛でたいお品である。
blog 7602
(直径7.3cm 高さ4.6cm)

どぉやってこんなに描くんだ!?
馬の姿や毛並みの描き分けも凄まじいが、この亀甲文みたいなやつ、
本当に手描きなのか?・・・いやだってひとつぶ2mmぐらいだぞ。
(ルーペで見て初めて手書きであるのに驚くのであった。)
つくづくこの頃の九谷には驚愕する。

この碗も、5客のうちの2客しか無傷で取れなかったそうで、さらに
驚愕したのは、その骨董商が共箱を2客用に加工してもらっていたことである。
箱書きが蓋の表裏あちこちにあるので、単純に2客分のところで箱を切ればよい
訳ではないところを、ちゃんと蓋裏の作家名を切り取ってはめ込んであるのである。
そのようなことをするのは、なんと京では何の造作もないことなのだそうであるが、
職人も職人だけれど、骨董商も骨董商で、(確かに商品価値が上がるのは事実
であるとしても、それだけではこうはできない、)こうして日本のふるいものたちは
伝世されてゆくのであるかと思ったことだった。

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ものたち | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
No title
ミケアさん、初代中村秋塘、二代中村秋塘を調べているうちに、この煎茶碗ブログに出合いました。九谷赤絵展の宮本屋窯筆筒にもこの図案が用いられており、中国の墨の画手本「方氏墨譜」に掲載されている百子駿図です。宮本屋窯や浅井一毫他後世の作品によく用いられております。初代中村秋塘の筆致は素晴らしいですね。この染付の銘の作品は大変珍しいです。
Re: isamuisamu2さんへ
九谷の赤絵で時々このような馬の図を見かけますが、百子駿図というのですね。
情緒の面では江戸のもののほうが勝るように思いますが、
明治の超絶技巧にはいつも感嘆します。生き方が垣間見えるようです。

> この染付の銘の作品は大変珍しいです。
そうなんですね。そういえば確かに見たことがないかもしれません。
どうしてないのかな?とは思っていましたが(笑)

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