2013/04/25.Thu

迷宮を・・・ (『牧野邦夫-写実の精髄-』展)

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4月27日22時、テレビ東京「美の巨人たち」で牧野邦夫が放映されます。
4月14日から6月2日(日)までの会期で、練馬区立美術館で
「牧野邦夫 -写実の精髄-展」が開かれています。
牧野邦夫がどういう画家か、見られる方は美の巨人をぜひ見てください。
というよりか、ぜひとも美術館に足を運んでください。
図録は書籍で求龍堂から出ています。よければ手に取ってみてください。
でも図録はほんの手がかりです。
人には好みというのがあるので、ご存じのない方は牧野の絵を見て
もしかしてぎょっとするかもしれません。
でも絵が好きな人には、もしまだだったら実物を見ていただきたいです。
牧野の絵には好みとか、そういう悠長なことを言ってられないのです。

そんなことを書いている私自身、彼の油彩の実物は
今回ようやく見たに近いのでした。
数年前、青山の大坊珈琲店まで作品を見に足を運んだのが精いっぱい。
画壇に属さず、描くことだけに注力した彼の作品は、
ほとんどコレクターの元にしかないのです。
いつか・・・とずっと待っていた展覧会なのでした。
とにかく困難であったろうこの展覧会を開催してくださった方々には感謝です。

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というわけで思いつくままの覚書↓
「写実の精髄」という副題は、まさに言い当てているし、語弊もある。
というのは、「写実」には何か古臭い絵画技法というような、
そういうイメージがつきまといかねないからだ。
牧野邦夫が描いていた戦後の昭和というのは、まさにそういう時代で、
彼は時代に逆行していると見做されていたのかもしれない。
(けれど、今見ても彼の絵は「新しい」のだけれど・・・。)
なので「なぁんだ、写実か」などと思われると困るなぁ・・と思う。
レンブラントの時代には「写実」などとは言わないだろう。
圧倒的な表現の手段、あるいは結果が写実なのだ。(上手く言えない。)
そして牧野の写実はありがちな「写真のような」表現ではない。
幻想的だったり、シュールだったり・・・現実を突き抜けている。
そういう面は「写実」という言葉では伝えきれない。
それでもやっぱり本当に、「写実の精髄」なのだなぁ。。。

さて、ようやく彼の油彩を見たいだけ見た。
彼はいつから牧野邦夫だったのか、今回展示されていた作品の
最初期の頃から「牧野」であることに驚く。
そして、ただただ「実物の」絵に圧倒された。
もしもこのひと塗りの絵具として、私がこの絵の一部だったら、、、と。
画布に塗り込められた絵具たちは幸福だ。
絵具に嫉妬を覚えたのかもしれない。
そういう「もの」としての圧倒的なオーラは、図録では上手く伝わらない。
彼は勿論最高に上手い画家ではあるのだけれど、そういうことを忘れさせる。
(「上手い」なんてつまらないことなのだ。)
それよりも、彼が自分と向き合い、絵と向き合うこと、それが
圧倒的な表現として目の前に現れる、そのことに胸を打たれる。
絵は鑑賞するものではなく、空気や水のように在るものだと、
そう思うようになって視た牧野の世界はただただ豊穣なのだった。
あぁ、お腹いっぱい♪

だけど、もしも次回があるのなら・・・デザートをリクエストしたい。
今回もう少し見たかったなぁ、と思ったのは京都時代の作品。
前回の回顧展の図録で見て、現物をみたかったけれど叶わなかったものがいくつか。
京都時代、牧野邦夫は千穂夫人と碁盤の目の街を迷宮のごとく彷徨ったのでは
なかろうかと、思いを馳せる。
そのころの京都は、私にもまるで迷宮のようだったけれど、
私には手を引いてくれる人はなく、牧野には千穂夫人がいた。
ふたりが歩いた痕跡をもう少し辿ってみたら、自分の影も踏めるかもしれない。

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