2013/09/16.Mon

フシギちゃん (織部油壺)

いつも臆面もなく小間物をアップしているかのような私であるが、
好きなもののことは書いておきたい気持ちとは裏腹に、
誰にも見せず、じぶんだけの秘密に取っておきたい気持ちもあって、
手に入れても暫くぼんやり横目で眺めて過ごしていることも多い。
増してや出目不明のものなど猶更である。
人目に晒すのは罪深いような気がする反面、できることなら
賛同してくれる人がいればものも浮かばれるかななどとも思うのである。

20130913 002

催事の片隅で、不思議なる小壺を見かけた。油壺のようである。
「へぇ、こんな可愛く織部を作る人もあるのかなぁ。」と思ったのは、
口作りがぽてっとしていて、本歌の織部ならもっとこう、薄作りな感じが
したのと、まぁなんというのか、雑多な中に混じって置かれていたからである。
織部だと思ったのは、様式が赤織部だったし、ひと目みて可愛いなと
思った沢潟(オモダカ)の文様のせいである。(実は聞くと外国の壺と言われた。)
でもよく考えると、赤織部っぽいけれど緑釉を垂らし掛けしていて、
ならば鳴海織部に近しいような気がするし、随分と約束通りではない。
沢潟の文様をこんなに可愛くアレンジして、こういう風に織部を解釈できる
人ってどんな人だろう?と思いながら手に取って、あれっ?っと思ったのは・・・

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フシギなることに、高台にずいぶんと古格があるのである。
汚しているのか?とおもって、まじまじと見たけれど、
汚れもおおよそ経年変化であるようだし、汚れを取ったとしても
こんな高台は今の時代にはゼッタイ削れない。

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(さらにアップ!)
スピード感があって、見た目の可愛さとは裏腹に、なかなかに厳しい高台である。

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(直径7.5cm/高さ6cm)

さて、そうなるとこれはいったい何なのかしら?
油壺がやきもので作られていたのは明治・大正あたりまでらしいけれど、
これはもっと時代があるように見える。。。
そうなると江戸時代ということになるのだけど、あまり瀬戸には見えない。
どちらかと言われたら美濃になるんじゃなかろうか。
でも、美濃古窯から荒川豊蔵が志野陶片を発見したのは昭和5年とあり、
それ以前に美濃で本歌の織部の写しものが作られているというのは考えにくい。
じゃあやっぱり復興織部?ん~でも瀬戸には見えないんだよなぁ。。
結局のところ思うのは、これは終いの織部ではないのかな、ということ。
美濃の織部を焼いた窯がいつ途絶えたのか、諸説あるようだけれど、
桃山のアバンギャルドな織部は、時代が下がると生活雑器に近くなっていく。
窯ヶ根窯のものなど、ちょっと愛嬌があっておおらかで微笑ましい。
このおおらかな沢潟文はそういう感じに通じるものがあるんだよなぁ・・・。
とまぁ、妄想はまたまたどんどん拡がってゆくのであった。

いつもへんてこなものばかり目をつけて、勝手な妄想を繰り広げているけれど、
結局のところ、こいつのカワイサになんとか出目を明かしたかったからだ。
さらにフシギなのは、こんなに時代色がついているというのに、中は
油壺として使われた様子が全くないことで、覗くと綺麗な陶土が見えている。
どうしても近頃のものには見えないというのに、ならばどうして
伝世したのか、暫く手元で眺めながらぼんやり夢見ているのである。




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ものたち | Comments(2)
Comment
No title
ミケアさん、「油壺」古美術商で古い作品に遭遇すると、結構面白い作品が沢山目に入ります。愛らしい姿に「油壺の蒐集を本格的に始めると面白いな」といつも感じています。油壺の場合九谷は色絵で趣が少ないですが、土物は侘び寂の境地があります。以前、陶芸教室に通っていましたが、作って面白いのはやはり土物でした。ご指摘のように、私も入手する作品の評価や作成時代の判断基準の半分は高台です。以前、九谷焼百話ブログでも話題になっていました。高台には色々な表にでない土味やかいらぎ、削り方や銘から時代背景等秘密が沢山隠され、その解明も楽しいですね。ミケアさんの油壺、侘びさびの境地もあり、沢潟の図柄も大変趣があります。ガラスにしろ焼き物にしろ、いつもながらお眼が高いですね。
isamuisamu2さんへ
isamuisamu2さん、こんばんは。
高台にときめく気持ちを分かっていただけるとうれしいです!
ほんとうに仰る通り、高台を見るといろんなことがイメージできますね。
何か分からないものをあれこれ推測するのも愉しいことです。

この油壺はとても好きなのですが類例が見当たらず、
ちょっと見いたずら書きみたいな柄なので、ずっとどうなのかなぁ・・
と思っておりました。
isamuisamu2さんに「趣がある」と仰っていただいて、
この油壺もちょっと出世できたかな?とうれしく安堵いたしました。




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